この料理を初めて覚えたのは、「おそうざい風フランス料理」(辻静雄)という本でした。「ロシア風牛肉の煮込み」という副題と、以下のようなコメントがついていました。
ストロガノフは、もともとロシアの貴族の名前です。ヒレ肉を外側はカリカリに、中は生で表面をさっといためて生クリームだけであえるのがストロガノフだという説と、トマト風味が入らないとストロガノフといえないという説と、2派が主張を曲げないでがんばっています。
この本では生クリームとトマトペーストでソースを作っています。これ以外のフランス料理の本でも、「ビーフストロガノフ」を扱っているものをいくつか見ましたが、やはりトマトが入っていました。一方、ロシアの料理本では、トマトを入れているものを見たことはなく、スメタナでソースを作っています。トマトを入れるのはフランス式で、スメタナで(生クリームではなく!)作るのはロシア式、といえそうです。上のコメントの「2派」が、ロシア人とフランス人であるとはあまり思えないのですが。
辻さんの本は、どのレシピも合理的で作りやすくおいしいですが、この料理に関しては、多少のアレンジを加えて下のようにしています。
ビーフストロガノフ(トマト入り)
材料(4人分)
牛ヒレ肉またはロース肉 400g
玉ねぎ 1個
マッシュルームまたは生しいたけ 1パック
トマトペースト 大さじ2強
パプリカ(スパイス) 大さじ2
ブイヨン カップ1 1/2
生クリーム カップ1
バター 20g
サラダ油
塩
こしょう
バターライス適宜
作り方
1)玉ねぎは薄切りにする。なべにバターとサラダ油を入れて熱し、玉ねぎを中火で炒める。
2)玉ねぎが薄く色づいたら、パプリカを加えてさっといため、トマトペーストを加えて混ぜる。
3) 2をブイヨンでのばして、木じゃくしでなべ底をこそげ取り、弱火で10〜15分(煮汁が約半分になるまで)煮込む。
4)きのこは薄切りにして、バターで軽く炒めてソースに加える。
5)肉は親指大に切る。フライパンを熱して、油をひかずに、肉を少しずつ入れて表面だけ焼く(手早く4枚ほど並べ、すぐに裏返して皿に取る、という作業を繰り返す)。
6)ソースに生クリームを加えて塩・こしょうで調味する。肉を加えたら、温める程度で火から下ろし、バターライスを盛った皿に添える。
※チキンでもおいしく作れる。その場合は、中火で表面を焼いてソースに加え、生クリームを入れる前にしばらく煮て火を通す。
肉のうまみをソースに使うわけではないので、予算がないときはチキンでもいいのですが、遊びに来てくれた人にチキン版を出したら、「おいしい!なんていう料理?」と聞かれて、チキンストロガノフ、とも言えず、とても困ったことがあり・・おもてなしには倹約メニューを出すものではない、と悟りました。
ビーフストロガノフ(スメタナ入り)
材料(6人分)
牛肉 400g
玉ねぎ 1個
マッシュルーム又は生しいたけ 1パック
バター 大4
パセリ 適宜
スメタナソース
ヨーグルトチーズ(水気を切ったプレーンヨーグルト) 1C
サワークリーム 1/2C
バター 大1
小麦粉 小2
ジャガイモ、コロッケなど 適宜
作り方
1)スメタナソースを作る。バターで小麦粉を焦がさないように炒める。ヨーグルトチーズとサワークリームを加えて混ぜ合わせ、塩・こしょうで調味して、3-5分軽く煮る。
2)玉ねぎとマッシュルームは細切りにして炒める。
3)肉は一口大に切って塩こしょうし、バターで炒める。火が通ったら、玉ねぎとマッシュルーム、スメタナソースを加え、よく混ぜながら加熱し、沸騰直前に火からおろす。
4)パセリのみじん切りを振り、ジャガイモやコロッケを添えて出す。
色合いはトマトが入ったほうが華やかですが、スメタナソースで作るほうもおいしくて、甲乙付けがたいと思います。
なお、「世界の食文化19 ロシア」(沼野充義・沼野恭子著)によれば、ビーフストロガノフの歴史はそれほど古くなく、料理として考案されたのは19世紀の後半、この名前で知られるようになったのは1890年代のことだそうです。伝統的なロシア料理ではないからこそ、フランス料理の一つと数えても違和感がないのだろうと納得しました。
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お調べになっているとのことですが、もしこのレシピをお試しになりましたら、感想を聞かせていただけると嬉しいです。